日本ブライト旅行社長のブログ
 
栃木県佐野市の旅行会社社長のひとり言です。
 


平成22年度 栃木県旅行業協会県南地区会 勉強会

平成22年度 栃木県旅行業協会県南地区会 勉強会
                                 
過日、社団法人全国旅行業協会栃木県支部の法定業務委員会が開催され、その中で苦情・弁済業務委員会では下記の4項目の活動方針を打ち出しています。
 
1.会員について旅行業サービス提供者から未払いに関する苦情が出された場合、速やかに状況を把握し解決処理に努める。
2.消費者より旅程管理に係る苦情及び会員・会員以外から業法上の問題提起を受けた場合、指導業務委員会と
連携を取りながら対応する


3.無登録業者撲滅に向け、証拠書類を添付し、行政庁に調査指導を依頼する。

4.弁済に係る消費者からの認証申出に至った債権に関し、弁済規約に基づく的確な処理を行う


①状況把握
②解決処理
③連携を取り対応
④的確な処理

上記のようなことが起こらないことが望ましいのですが、近年は、様々な問題が本部や本県支部にもクレーム件数の増加に対応しなければなりません。もちろん、初歩的な旅行業者としての知識と対応が、会員(経営者)の皆様方及び、旅行業務取扱管理者、旅程管理者を含め職責を全うしなければ、事故対応と同様に自社に損害を受ける可能性も大です。 全国に先駆けて、県南地区会で勉強会として旅行業者の資質向上にお役に立てればと思います。



旅行業を営む上で必要なことは、『業法・約款・実務の3つ』を切り離さないで常に1セットで行うことであります。
 

【旅行業法】
 旅行業に関する法律は、昭和27年(1952)の「旅行あっ旋業法(法律第239号)」を基礎としています。この法律は、その後昭和46年(1971)の改正で「旅行業法」という名称に変わり、更に時代の趨勢(すうせい)に従い、さまざまな改正を経て今日に至っています。その中でも昭和57年(1982)、平成7年(1995)、平成16年(2004)の改正が、大きなものでありました。

約10年前後毎に改正がおこなわれるようです。

平成16年の改正の背景には、旅行需要の伸び悩みや旅行代金の持続的低下傾向、航空会社・宿泊業者等による直販に見られるIT取引の増加、消費者(旅行者)嗜好(しこう)のますます多様化・高度化(専門化)、情報の氾濫等があります。

そのような中で、旅行業者(旅行会社)が、柔軟かつ機敏に対応し、氾濫する情報を整理、再編成して消費者ニーズに最大限マッチした形での提案と、また「旅行が計画通り円滑に実施されるように」という顧客の期待に応えての責任範囲の拡充による「高付加価値旅行商品」を提供することにより、旅行者の利便の向上と、取引の公正の確保をより一層図ろうとするものでありました。



【旅行業のしくみ】旅行業法は、旅行業に関する事柄を定める法律です。

・旅行業施行令(政令)
・旅行業法施行規則(国土交通省)
・旅行業者営業保証金規則(法務・国土交通省令)

いったい何の為に法令が定めてあるか?   

旅行業法の目的は、
①旅行業務に関する取引の公正の維持 
②旅行の安全の確保 
③旅行者の利便の増進の3つであります。

この目的を達成するために、
①登録制度 
②旅行業等を営む者(旅行業者と旅行業代理業者)の業務の適正な運営の確保 
③旅行業等を営む組織の団体の適正な活動の促進の3つの措置(手段)を講ずることになっています。


つまり旅行の安全の確保と消費者(旅行者)の利益確保が大目標であり、その為に産業としての旅行業を発展を期するものとなっていて、旅行者が安心して旅行業者等の取引をし、より快適な旅行が出来るようにさせるために、旅行業者の側に何らかの働きをしようというのが旅行業法です。

これから、旅行業法を中心に旅行関係法令の内容を概観して行きますが、その前に旅行業法がどのような仕組みを持っているかに触れます。

大まかに言えば、旅行業法は、「目的」と「定義」の基盤の上に立つ次の5つの柱から成り立っています。

1.登録制度
観光庁長官又は、都道府県知事によって、旅行業法を営む資格のある者として登録された者だけが、旅行業等を営むことができる制度です。

 本来なら、誰でも営むことができるはずであるのに、十分な資力がない者や、適正な営業活動ができない者には、登録を与えないことによって、あらかじめ旅行業等から締め出すことができます。このように消費者が悪質な業者の為に被害を受けることを防止するのです。

2.営業保証金
旅行業者の財産の一部を営業保証金として、あらかじめ国に預けておいて、将来、旅行業者が旅行者との債務不履行に至ったときは、これを弁済費用に当てようとする制度です。

 旅行業の特色として、費用(旅行代金)の前払い制度があるが、旅行代金を支払った旅行者が出発前に、契約の相手先である旅行業者が倒産してしまった場合でも、この営業保証金の限度額の救済は受けられるので、安心して契約ができるのです。


3.旅行業務取扱管理者制度
旅行業者に、その営業所ごとに一定の資格を持った「旅行業務取扱管理者」を選任させ、旅行業法第1条に定める「目的」を達成するために、その営業所における旅行業務の適正な運営を管理・監督させる制度であります。

 関係法令に精通した旅行業務取扱管理者の管理・監督によって、その営業所で行われる取引の公正が維持され、旅行の安全及び旅行者の利便を増進し、旅行者の正当な利益が確保されることになるのです。

4.取引の公正化のための規則
 旅行業者の行う取引を公正なものとする為に定められた諸々の規則です。

その主なものを順序不動で列記すれば、
①旅行業者等の標識を掲示すること。
②取扱料金表の掲示。
③旅行業約款の掲示または備え置き。
④旅行者に対する取引条件の説明書及び書面を交付(IT化の進展により条件付きで書面に変わる電磁的手段によることも可)。
⑤広告に関する規制。
⑥企画旅行に伴う旅程管理の規程。
⑦禁止行為、行政処分等々である。

 いわば旅行業者等が,取引を行う際に「してはいけないこと」「しなければいけないこと」を定めたもので、これによって旅行者は,無知に付け込まれて不当な取り扱いを受けることが無くなり、また、取引の内容について十分に認識する機会が保証されます。


5.旅行業協会制度
旅行業者等の組織する団体のうち一定の要件を備える者について,次に掲げる業務すなわち(法第22条の3) ①旅行業者の取扱った旅行に対する旅行者等からの苦情の解決
②旅行業務に従事する者についての研修の実施
③協会の会員である旅行業者等と取引をした旅行業者等の債権の弁済
④適切な運営を確保するための旅行業者等の指導
⑤旅行業務に関する取引の公正の確保または旅行業者等の健全な発展を図るためにの調査・研究及び広報

以上の法定5業務を行わせることにより,旅行業界全般の自主的向上を図ろうとする制度です。


一般に「○○業法」と呼ばれる法律は、国が国民の利益確保のために、事業者の取締を行うとともに,国の一般的な産業保護育成政策に基づいて,その法律の対象とする事業全体の育成発展のための条件整備を行うことを目的としており、旅行業法もこうした業法の一つではあるが、旅行業法は、旅行者の保護などを目的に、基本的には事業者を規制する法律であって、事業を助成,育成する法律ではない。

しかしながら旅行業法の実施によって旅行業界から悪質なものが排除され、取引が適正に行われるようになれば,旅行業界の社会的な地位は向上し、旅行業に対する信頼は厚くなります。

それは、究極的な旅行業の健全な発展を促すことになるでしょう。



旅行業とは
旅行業法は「旅行業法を営もうとする者は、観光庁長官又は都道府県知事の登録を受けなければならない」と定めている。(法第3条、規則第1条)
 
仮に、ある者の行っている事業が『旅行業』にあたるならば、その者は登録を受け、旅行業法の規制に全面的に服さなければならないが、『旅行業』にあたらないのならば、旅行業法の規制は全く受けない。

このように、何が『旅行業』であるかということは、旅行業法上の規制に及ぶ範囲を決める重要な問題です。

旅行業』の定義
旅行業とは「報酬を得て、一定の行為を事業として行うもの」です。ただし、専(もっぱ)ら運送サービスを代理して取引を行うのは『旅行業』にはならない。(法第2条第1項)また、『旅行業者代理業』とは、報酬を得て、旅行業を営む者のために一定の行為を代理して契約を行う事業をいう。(法第2条第2項)

報酬を得て」の報酬とは、事業者が一定の行為を行うことによって経済的収入を得ていれば(利益ではない)報酬となります。したがって「企画旅行」のように包括料金で取引される旅行契約は旅行者から収受した旅行代金すべてが、いったん事業者の収入として計上されるので、報酬を得ているものと認められます。また、行為と収入の間に直接的な関係が無くても、次に示すような行為を行うことによって収入があれば、報酬を得ているとされます。

 例えば、旅行者から頼まれて無料で旅館を紹介したが、後で旅館から割り戻しを受けたような場合。


事業」とは、ある行為を反復継続して行うことを意味します。

例えば,旅行の手配を行う旨を宣伝・広告している場合や,店舗を構えて、旅行業を行う旨の看板を掲げている場合は、行為の反復継続の意思が明らかであるから、その者は事業を行っているものと考えられます。

他方、同じ行為が何度も繰り返し行われたとしても,次の例のように受動的偶発的な行為であれば「事業」とは言えません。
例:タクシーの運転手が乗客に頼まれて旅館を案内したら、旅館からチップをもらった。

一定の行為」について,旅行業務はすべて「旅行者の募集のため」又は「旅行者から依頼を受けて」、あるいは、「サービス提供機関のために旅行者と直接取引する等」旅行者との何らかの契約行為を行う業務に限られます。


したがって、旅行者に対して直接債務を負わない旅行業者の下請け手配代行者の手配行為は、旅行業務には該当しません。(報酬を得て、事業、一定の行為は何れも通達による。)上記の一定行為の中には、ランドオペレータ、旅館の案内所、観光バスや観光タクシー等を旅行業者の依頼で手配を代行する者、添乗員の派遣事業等があります。



旅行業法で定める一定の行為とは、次の9つの項目を行為であります。(法第2条第1項)
① 旅行の目的地及び日程、旅行者が提供を受けることのできる運送又は宿泊のサービス(以下『運送サービス』という)の内容並びに旅行者が支払うべき対価に関する事項を定めた旅行に関する計画を、旅行の募集のためにあらかじめ、又は旅行者からの依頼により作成するとともに、当該計画に定める運送等のサービスを旅行者に確実に提供するために必要と見込まれる運送等サービスの提供に係る契約を自己の計算において運送等サービスを提供する者との間で締結する行為です。

② ①に掲げる行為に付随して、運送及び宿泊のサービス以外の旅行に関するサービス(以下『運送等関連サービス』という。)を旅行者に確実に提供するために必要と見込まれる運送等関連サービスの提供に係る契約を自己の計算において運送等関連サービスを提供する者との間で締結する行為。(①と②は、あらかじめパッケージ旅行商品を作成し、旅行者の募集をする。(募集型企画旅行)又は、旅行者からの依頼により同様の旅行商品(受注型企画)を作成し契約をする。)

③ 旅行者のための、運送等サービスの提供を受けることについて、代理して契約を締結し、媒介、又は取次ぎをする行為。(例:旅行者のために貸切バスや旅館を手配する行為)

④ 運送等サービスを提供する者のため、旅行者に対する運送等サービスの提供について、代理して契約を締結し、又は媒介する行為。(例:館との宿泊契約により、旅行者にその契約旅館をあっ旋する行為)

⑤ 他人の経営する運送機関又は宿泊施設を利用して、旅行者に対して運送等サービスを提供する行為。

⑥ ③~⑤に掲げる行為に付随して、運送等関連サービスの提供を受けることについて、代理して契約を締 
 結し、媒介をし、又は取次ぎをする行為。(例:旅行者の依頼に基づき、旅行先でのレストランや観光施設の予約手配をするような行為)

⑦ ③~⑤に掲げる行為に付随して、運送等関連サービスを提供する者のために旅行者に対する運送関連等の提供について、代理して契約を締結し、又は媒介をする行為。(例:旅行先の観光遊園地の入場券を旅行のために販売する行為)

⑧ ①及び③~⑤に掲げる行為に付随して、旅行者の案内、旅券の受給のための行政等に対する手続きの代行その他旅行者の便宜となるサービスを提供する行為。

⑨ 旅行に関する相談に応ずる行為
 以上が、法第2条第1項の第1号から第9項に規定された『旅行業』に該当する「一定の行為」の定義です。


登録制度
旅行業または旅行業者代理業を営もうとしている者は、行政庁(観光長官又は都道府県知事)による登録を受けなければならない(法第3条、施行令第2条)。

 国民は自由に旅行業等を営むことはできず、行政庁により一定の条件を満たしていると認められて登録を受けた者のみが営むことができる。このような仕組みをとる目的は、悪質な者、不適格な者を旅行業等から排除するところにある。そうすることによって、一般国民が悪質業者等から被害を受けることを予め防止しようというわけである。しかしながら、職業選択の自由は憲法によって保障された国民の権利であるので、旅行業等を営もうとする者がいる場合は、これを不当に拒むことはできない。行政庁は、登録申請者が旅行行法の定める条件を満たしていると認めるときは、必ず登録をしなければならない。



参考資料


禁止行為:旅行業者等(含:代理人/使用人)が行ってはならない行為
1.営業所に掲示した料金を超えて旅行業務の取扱い料金を収受する
2.取引の相手に対し、その取引に関する重要な事項について故意に事実を告げず、または不実のことを告 
げる行為
3.取引により生じた債務の履行を不当に遅延する行為
4.旅行者に対し、旅行地において法令に違反する行為を斡旋、または行う事に便宜を供与する行為
5.旅行者に対し、旅行地において法令に違反するサービスを斡旋、または行う事に便宜を供与する行為
(白バス等利用)
6.4,5の斡旋や便宜供与を行う旨の広告を行うこと
7.旅行者の保護に欠け、旅行業の信用を失墜させる行為
(旅行者に強引に、特定の物品を購入する事をすすめる等)

名義利用等の禁止1.その名義を他人に旅行業または代理業のため利用させること
2.営業の貸渡し、他人にその名において経営させること

業務改善命令:登録行政庁は措置を命ずることができる
1.旅行業務取扱管理者を解任すること
2.旅行業務取扱料金、企画旅行の対価を変更すること
3.旅行業約款を変更すること
4.企画旅行の円滑な実施のための措置を確実に実施すること
5.旅行者に生じた損害を賠償するのに必要な金額を担保することができる保険契約を締結すること(特別補償規定)
6.上記の他、業務運営の改善に必要な措置を取ること

意見の聴取:登録行政庁は、登録の申請を拒否する場合、予め業者の出頭を求めて釈明/証拠の拠出の機会を与えるため公開により意見の聴取をしなければならない(1週間前までに通知)

罰    則
:100万/50万/30万/20万円以下の罰金
100万円:未登録/不正な普段で登録/名義を他人に/所属以外の業者の代理業etc
50万円:業務停止命令に違反
30万円:登録事項の変更未届け/虚偽届出/取扱管理者を不選任/料金の未掲示etc
20万円:事業廃止/合併消滅/業者死亡の未届け、虚偽届出

両罰規定:行為者だけでなく、所属する旅行業者等にも同様な罰金を科す。



4月15日(木)21:30 | トラックバック(0) | コメント(0) | 自己啓発 | 管理

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