日本ブライト旅行社長のブログ
 
栃木県佐野市の旅行会社社長のひとり言です。
 


シューシャインボーイ

テレビ東京開局45周年記念ドラマスペシャル「シューシャインボーイ」


層ビル群が立ち並ぶ現在の東京・・・。
その昔、ここがあたり一面なにもない焼け野原だったとは、今からは想像も出来ないかもしれません。
あの玉音放送から64年・・・。

果たして、戦後は、戦争は終わったのでしょうか?
テレビも携帯もなんでも揃っている現在の私たちは、大勢の人間が焼け死んだ上に自分たちが住んでいることを忘れてしましまいがちです。

このドラマ「シューシャインボーイ」は、新宿“角筈の大ガード下”をモチーフに、戦争孤児から一代で会社を築き上げた社長が、靴磨きの育ての父に親孝行をしたいという不器用で切ない想いを縦軸に、大手銀行を辞め、社長の運転手となった男と男の友情を横軸に、そして男たちを支える妻たち、家族の葛藤を織り交ぜ、現在をどう生きるのかを、じっくり描いた大人の鑑賞に堪えるドラマです。菊治と、菊治を「父」と慕う一郎の、過去と心の闇に迫る。


塚田文雄(柳葉敏郎)の以前の仕事は地銀の課長職。都銀との合併時に、部下や同僚の肩たたき役を命じられた。塚田は、組織や人の冷たさを感じ“こんな世界で生きてきたのか”と、出世コースが約束されていたにも関わらず自らも退職。半年前から、食品会社「アカネフーヅ」の社長・鈴木一郎(西田敏行)のお抱え運転手として働いている。

ガサツに見えて繊細で、剽軽なところもある一郎。ころころ態度が変わる一郎と毎日を過ごすうちに塚田は、人の温もりを感じるようになり、今では帰宅後、妻の敬子(安田成美)にも楽しそうに仕事の話をするほどになった。

ある日、一郎の持ち馬『シューシャインボーイ』が競馬レースで勝利した。しかし一郎は祝賀会にも参加せず、さっさと車に乗り込んでしまう。新宿“角筈の大ガード下”へ行くよう指示された塚田は、言われるままに新宿へ・・・。一郎の目的は、そこにいる初老の靴磨き(大滝秀治)に靴を磨いてもらうことだった。余程この靴磨きの腕を買っているのか、その靴磨きのいる新宿まで、週に一度は通っている。

一郎がそこまでして通い詰める理由が気になっていた塚田は、夫婦で一郎夫妻宅に招待された日の帰り、敬子とその靴磨きを訪ねることに。靴を磨いてもらいながら一郎との関係を聞いてみるものの、“知らない”という返答しか得られなかった・・・。

後日、その靴磨きに会いに行ったことを告げると、一郎は「たかが運転手のくせに余計なことをするんじゃねえ!」と激昂。一郎の運転手として過ごす日々に楽しみを見出し、行員時代よりも幸せだと感じていた塚田は「たかが運転手」とまで言われる理由が分からず、一郎に裏切られた気にさえなるのだった。

一郎がそこまで激昂した理由は、一郎と靴磨き・菊治との関係にあった。やがて塚田は、一郎の秘密を知ることになり・・・。「シューシャイン」は「靴磨き」の意味で、2人を結ぶ過去を暗示する。



「シューシャインボーイ」は、戦災孤児から裸一貫で食品会社を築き上げた、ガサツだが実は繊細な人間味あふれる社長・鈴木一郎(西田)と、親代わりとなって彼を育てた新宿の老いた靴磨きの菊治(大滝秀治)の関係を、大手銀行に失望して鈴木の運転手に転身した塚田(柳葉敏郎)の視点から描いている。


戦争ですべてを失った菊治。焼け跡からはい上がった鈴木。成熟しきった社会で生きづらさを感じる塚田。三人の男は三つの世代の価値観を象徴するが、中でも、出世した“息子”にすがろうとしない菊治の凜(りん)とした生き方は胸を打つ。

終戦から六十五年。
戦争とは何だったのか、何を得て何を失ったのかを考えさせるドラマだが、大上段に「反戦」を掲げるのではなく、ほろ苦い物語の中に、さりげなくテーマが横たわっていた。

「ビルばかり大きくなって人間が小さくなった」。そんなセリフを印象的に挿入したドラマは、戦後の日本人の変容ぶりも浮かび上がらせている。人と人との距離を縮めることで日本がもっと元気になるという思いが湧いてきた。

西田敏行さん、柳葉敏郎さん、大滝秀治さん、星由里子さん、安田成美さん、余貴美子さんなど、ベテランの方々のすばらしい演技でしたね。


原作は、浅田次郎さんの「月島慕情」(文春文庫刊)に所収される「シューシャインボーイ」。 



3月25日(木)07:27 | トラックバック(1) | コメント(0) | テレビ・映画 | 管理

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