『文藝春秋』5月号 |
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| 『文藝春秋』5月号の最後尾にある連載コラム(塩野七生さんの連載と並ぶ必読のコラム)の中で、文芸評論家の坪内祐三氏がこう述べています。
去年の暮れから日本は大きく変わった。 例えばバブル以前バブル以降という言い方があるが、実は、日本は、それ以前以降でも変化なかった。
バブルは崩壊していたはずなのに、やがてまた景気が復活する日が来る、と信じ込んでいた(新聞やテレビのニュースが、「いざなぎ景気」を抜いたと報じていたのは、たった二年前のことだ)。
たしかに今はあまり景気が良くない。 しかしいつか復活の日が来る、と思っていた。
それがいよいよペシャンコになった。
太平洋戦争以来の本当の敗戦である。
本当の敗戦であるから、焼け跡が広がっているはずなのに、太平洋戦争後のそれとは違って、ビルはいまだ立ち並び、つまりヴィジュアルではそれが把握されていない(焼け跡でありながらビルが立ち並ぶ姿はかえって不気味だ)。
私が悲観的なことを口にしているのかといえば、そうではない。
焼け跡を前に、私はちょっとわくわくしているのだ。何だか、いよいよ新しい時代に立ち会っている、という気がして、わくわくするのだ。
この文章を読んで心が躍ったのは、ちょうど私もまったく同じことを考えていたからです。
一つだけ違いを述べるとすれば、今の日本は、"敗戦の真っ只中"にあるというより、むしろ、"敗戦の直前"にあるのではないか、ということです。
思わず膝を打ちたくなるような文章に出会いました。
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5月23日(土)08:04 | トラックバック(0) | コメント(0) | BOOK | 管理
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