リダーは、船の設計者 |
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| 社会というものは、ヒトやモノ、カネなど、いろいろなものが相互作用しながら成立している。
それはまるで複雑に絡みあうシステムのようなものだ。システムが上手く機能すればこそ、ヒト・モノ・カネは支障なく動く。
これは、私たちが働く「会社」という組織にも当てはまる話。
それでは、会社組織を1つの複雑なシステムと考えた場合、どのようなことがリーダーの役割となるのだろうか。
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| 「組織を1つのシステムと考えることを、“システム思考”あるいは“つながり思考”と言います。これは、組織、モノ、カネ、情報、そしてヒトの感情までをも全てつながっているものと捉え、その関係性や相互作用を重視する思考です。組織の在り方を考えるとき、モノやカネなど個々の要素だけを注視する傾向にあります。しかし、組織を支障なく動かすには、それぞれの要素の関係性や相互作用を理解し、絶えず全体像を把握しておくことが大切なのです。たとえば、1つの部署という組織で考えた場合、部下の1人1人の能力がとても優れていたとしても、それぞれがスタンドプレーに走っていたのでは部署がまとまらず、大きなプロジェクトを成し遂げることもできません。一方、部下の1人1人の能力はそこそこであっても、お互いが能力や仕事の関係性を重視してまとまれば、予想以上に大きな成果を挙げることができるものです。」
つまりシステム思考とは、組織を個々の能力の集合体と考えるのではなく、「組織という集合体があってこそ個々の能力がいかんなく発揮される」という考え方なのだ。昨今よく喧伝されている“個性重視”や“個人能力の重視”とは少し趣が違う。
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| それでは、システム思考で部署を捉えた場合、リーダーはどのようにして部下を導き、組織をまとめていくべきなのか。
理想的なリーダーとしてよく取り上げられるカルロス・ゴーンやジャック・ウェルチは、そのカリスマで組織を牽引してきた。だが、誰もが彼らのように絶大なカリスマを持っているものではない。
「従来の考え方では、カリスマや強い指導力を持った船長のようなリーダーが求められていました。しかし、これからの時代システム思考で組織を捉えた場合に求められるのは、船の設計者のようなリーダーです。船の設計者は、乗組員や機械などの内部環境はもちろん、天候や海など外部環境も全て把握した上で、安全に航行させる船を設計しなければなりません。これからのリーダーには、複雑なシステムを理解した上で、組織を設計・運用していく役割が求められます。」
ゴーンやウェルチと言えば、カリスマ性やリーダーシップが注目されがちだ。だが、実際には組織の再設計と運用が的確であったからこそ結果を残したのだ。そのようなシステム思考に基づいたリーダーであるには、どうすればいいのか。
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| 「システム思考に基づいた組織作りには、部下の1人1人が理想とする自分の姿や組織を定め、その意識を全員で共有することが必要です。そうした意識の共有ができる“場”をデザインするのが、リーダーのすべきことです。組織をコントロールしようと思ってはいけません。リーダーがあれこれ指示を出していると、やがて組織は指示があるまで動かなくなる傾向が強まります。
注意すべきことは、眼前の問題解決に注力するあまり、長期的な視点や行動をおろそかにしないようにすること。長期的な問題に取り組んでいると一時的に状況が悪化する場合もあるが、それはよくなる兆しであると捉え、途中で手法を変えないこと。とはいえ、短期的な問題を無視していいというのではない。短期的な問題と長期的な問題に、双方のバランスを保って取り組むことが大切。
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| リーダーは常にシステムの全体像を意識しつつ、部下の1人1人の意識にも目を向ける必要があります。
個々の意識が結集すれば、大きな力になることは間違いありません。また、人は誰しも自分を表現したい、上位にあるものとつながりたいと考えているので、そのツボをおさえれば、必ず組織はまとまり、いい方向に進むはずです。
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6月27日(水)09:12 | トラックバック(0) | コメント(0) | 社長日記 | 管理
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